日本における少子化および不妊治療の課題
2023年、日本の合計特殊出生率は1.20と過去最低を記録し、更なる減少が予測されています。この少子化傾向は、若い世代の人口減少や婚姻率の低下、経済的不安など、さまざまな構造的要因に起因しています。
このような時代背景の中、日本では年間60万人が不妊治療を受けていると想定され、出生の約7%は生殖補助医療によるものであると推定されます。
しかし、こういった不妊治療に関しては経済的負担や社会的スティグマ(否定的な烙印を押されるなどの偏見や差別)が課題となっています。このような課題から、治療をためらうケースも少なくありません。
この状況を踏まえ、「妊娠前からの子育て支援」を掲げ、支援と啓発活動の重要性を訴えています。
一般質問(一部抜粋および要約しております)
- <質問1>
令和4年度に東京都の特定不妊治療助成への市独自の助成や新婚カップルへのブライダルチェックのクーポン券提案が財政状況で難航している中、不妊治療支援策の現状について市の取り組みをお聞かせください。 -
市は東京都の不妊治療助成制度を案内し、財政的制約から市独自の助成を見送ったものの、子ども家庭支援センターでの相談支援を実施。
相談時には保健師が丁寧に対応し、専門機関を紹介する体制を整備しています。
また、「産婦人科・小児科オンライン健康相談」などの独自の取り組みを周知し、東京都や国が提供する相談窓口も情報発信しています。ホームページ上では、「プレコンセプションケア」に関する情報を提供し、思春期特有の健康課題や妊娠を考えるための健康管理を促進しています。
不妊・妊娠等に関する支援は、国・都が広域的に取り組んでいるため、市では国・都が提供する支援を基盤に、妊娠に関する正しい知識を持ってもらうよう、積極的に情報発信し、妊娠前からの支援を継続的に行います。
- <質問2>
令和6年度の新規事業として、中高生世代の若者やその保護者を対象としたプレコンセプションケアに関する講演会をみらいくが開催されるに至った理由をお聞かせください。 -
当該事業が開催される理由は、母子保健と児童福祉が一体となった子ども家庭支援センターが行う相談支援では、今まで以上に本人の背景、家庭全体に着目するようになってきたためです。
相談者の背景には、自身の体のこと、夫婦関係、家族関係、仕事と治療の両立等さまざまであり、妊娠を考える前から一人で悩みを抱えていることがあげられます。
若い世代が正しい知識をもとに健康管理を行い、より良い精神的・身体的健康状態に導く目的で、妊娠前支援が重要であると考えています。
思春期の女性が生理や無排卵、子宮筋腫に悩む中、若年層での健康管理の重要性理解と適切な生活習慣の早期形成が大切です。
プレコンセプションケアの学びを中高生の段階で提供することは、健康意識向上に貢献し、自らの将来設計や社会的スティグマの解消にも役立つと考えられます。この取り組みは個人の健康だけでなく、社会の持続可能な発展にも寄与し、日野市の素晴らしい施策です。将来的には中学校の教育現場へも導入を期待し、子どもたち全員に身体と向き合う機会を提供したいと考えます。
また、保護者には別途、リプロダクティブ・ヘルス・アンド・ライツを学んでもらい、子どもたちと個別に学ぶ場を設定することが望ましいです。これにより、個人と地域社会全体の福祉向上に寄与し、持続可能な社会基盤の構築に繋がるとされています。
「TOKYOプレコンゼミ」で大事な未来のこと、考えませんか?
第12回 TOKYOプレコンゼミ
日程:2025年3月4日(火)
時間:19:00〜21:00(受付開始時間:18:30)
開催場所:新橋プレイス5階 AP新橋 K会議室 または、オンライン
※令和6年度のTOKYOプレコンゼミは募集を終了しております。
- <質問3>
子ども家庭支援センターには中高生を対象としプレコンセプションケア事業を展開していただきつつ、その先にある「リプロダクティブ・ヘルス・アンド・ライツ」にも取組んでいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。 -
リプロダクティブ・ヘルス/ライツは、「女性の性と生殖に関する健康と権利」のことで、人権と性の視点から妊娠、出産、避妊などについて肉体的、精神的、社会的に男女の健康を保障し、女性の自己決定権を尊重する考え方です。
先ほど話題に挙がった「プレコンセプションケア」の先にある取組みが「リプロダクティブ・ヘルス/ライツ」であり、すべての女性の生き方の観点からも重要な取組みであると認識しており、子ども家庭支援センターでも啓発等に取組んでいきたいと思います。
「プレコンセプションケア」および「リプロダクティブ・ヘルス・アンド・ライツ」この2つの事業をおこなうことで、ご家庭の中でより深く愛情教育に対する話合いができると考えます。
また、私が政策に掲げている「自分の身体と向き合い人生設計ができる日野」、そして、人の意見や生き方を尊重し多様性を認めることができる社会実現にむけて、市も大きく動き出していることを実感できました。